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南チロルの機械利用 ①

 日本の果樹における機械利用はスピードスプレヤー・乗用モアーなど専用機の利用が一般的となっている。トラクターなどは従前のリンゴ栽培の中では定植前の耕起などを除き、ほとんど活用なれる場面がない状況である。一方、イタリアではトラクターに装着する様々な機器が活躍しており同様の機械利用の可能性や将来性について調査を行った。南チロルへ視察された方は、トラクターが収穫ビン(リンゴ約300㎏入る)を高速で運搬する光景を目にしていると思われるが、生産者段階では多様な作業にトラクターと関連作業機が活躍をしている。 

 今回、ボルツァーノ近郊のリンゴ生産者を視察した。

この生産者はリンゴ10haを経営しており、南チロルの平均的な経営面積の3~5ha(リンゴとブドウの合計)から比較して大規模生産者といえる。機械はトラクター3~4台を保有しており、(視察した農機具倉庫に1台・園地に複数台のトラクターが稼動)トラクターに装着する多くの作業機を保有している。

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視察先の園主(右)とKartWerth氏(左)

トラクター

 トラクターはドイツのFENDT社製の200Vシリーズで、南チロルで見かけるトラクターの大半が同様の機種であった。その他にはMASSEY FARGUSON社やNEW HOLLAND社のトラクターが稼動していた。いずれのトラクターも果樹園使用で、車幅が狭くリンゴの3mの列間でも作業のできる設計となっている。

FENDT200シリーズのエンジンの出力は70~100hp(1hp=0.7457kw=0.986ps)と車体に比較してかなり大きな出力のエンジンを搭載している。イメージ的には日本の50馬力位のトラクターの車体に100馬力のエンジンを搭載している感覚である。

 それにより、重量のあるリンゴの運搬や大容量の薬液を搭載した防除機の牽引などが可能となっており、走行速度も乗用車並みのスピードを持っている。このタイプのトラクターは前部と後部2ヶ所にPTOをもっており、前後に作業機を装着することが可能であるため、組み合わせによっては違う作業を同時に行うことが可能となっている。

 それにより、重量のあるリンゴの運搬や大容量の薬液を搭載した防除機の牽引などが可能となっており、走行速度も乗用車並みのスピードを持っている。このタイプのトラクターは前部と後部2ヶ所にPTOをもっており、前後に作業機を装着することが可能であるため、組み合わせによっては違う作業を同時に行うことが可能となっている。

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*FENDT200は南チロルで多く見かけるトラクター

*クボタ KL31Rは果樹など向けの低床トラクター

 日本のトラクターに比べると横幅が非常に狭いわりに車高が高いため、スタイルとしては違和感があるが、列間が狭い高密植栽培やワインぶどうの栽培には適している。

​防除機
fendt 200.jpg

  トラクター牽引式の防除機で、SSのような専用機はほとんど見かけない。防除機には様々なタイプがあるが、一般的には牽引式のスピードスプレヤーである。

  散布量は150~200 ℓ/10aと日本に比べ少量であるが、視察を行った生産者は、ドリフトの回避などのため高濃度少量散布を行っており、使用濃度は通常の6倍とし1000 ℓ/4ha?としている。牽引式の防除は、トラクターの出力が大きいことと高速で走行・作業が可能であることで可能となっていると考えられる

 高密植栽培における薬剤散布量は、真上への散布の必要性が低く、横方向を中心とした散布により薬剤散布量の低減・ドリフトの低減につながると考えられ防除機・防除方法の検討も必要と考えられる。

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2017 JA長野県営農センター イタリア調査報告書より引用 一部改

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